傘 蛍
日本の伝統美である和傘。
しかし現代では、日常の中で触れる機会も少なくなり、その美しさや情緒を感じる場面も、少しずつ減りつつあります。
私たちは、和傘が持つ日本ならではの風情や美しさを、現代の空間や体験の中でもう一度身近に感じてもらいたいと考えました。
そして、和傘の魅力をより印象深く感じてもらう方法を模索する中で辿り着いたのが、“光”という表現でした。
昼間の和傘も十分に美しい。
しかし、暗闇の中で光を灯すことで、和傘の繊細な質感や骨組みの美しさ、色彩や陰影といった、和傘本来の魅力がより際立つことに気づきました。
夜の空間に浮かび上がる傘蛍の灯り。
人が手に取り歩く姿や、静かに並ぶ光景は、見慣れた風景をどこか幻想的で特別な空間へと変えていきます。
その景色は、日本の原風景の中にある蛍の情景を思わせるものでした。
強く主張する光ではなく、そっと空間に寄り添いながらも、人の心を惹きつけ、懐かしさや風情、優しい温もりを灯してくれる存在。
優しい光が集まることで、より幻想的で美しい景色が生まれ、人と人、人と場所を自然につないでいく。
その姿に、私たちは古くから日本人に愛されてきた蛍の情景を重ね、「傘蛍」という名前が生まれました。
暗闇の中に浮かぶ灯りは、何気ない場所や見慣れた風景に、新しい美しさや特別な時間を生み出します。
一本の和傘の美しさだけではなく、その灯りが集まり、空間全体が彩られていくことで、人は自然と足を止め、同じ景色を見上げ、心を通わせていく。
傘蛍には、そんな時間や空間を生み出せる存在でありたいという想いが込められています。
「傘蛍を通して、日本人が大切にしてきた和の情緒や、人と人の心が自然と通い合う温かな空間を、現代にもう一度灯していきたい。」
それが、私たちの願いです。
